経審の点数計算

経審の点数計算

【経審(経営事項審査)総合評定値P】
総合評定値Pは、平均完成工事高評点X1、自己資本額・平均利益額評点X2、経営状況分析評点Y、技術力評点W、その他社会性等評点Zの評点項目ごとに評点を求め、下記に代入して求めます。

P=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.2+Z×0.25+W×0.15

経審(経営事項審査)の各評点について

工事種類別年間平均完成工事高X1の評点
工事種類別年間平均完成工事高X1は、受審する建設業者の規模を評価する最大の項目です。完成工事高は、激変緩和措置によって2年平均とするか、3年平均とするか選択することができます。
X1の評点テーブルは、バランスのとれた評価と適正性の観点から評点テーブルの上方補正がなされ、平成23年4月1日に改正されました。この改正により評価幅は397点から2309点までとなり、完成工事高がゼロでも397点が付与され、1000億円以上は全て2309点となります。

自己資本額及び平均利益額X2の評点
自己資本額及び平均利益額X2は、X1と併せて経営規模を評価します。X2は、完成工事高10億円未満の建設業者においては評点の幅を狭くとっているので完成工事高10億円未満の建設業者間では差がつきにくいのが特徴といえます。
自己資本額は、激変緩和措置によって審査基準日の決算のみとするか、前年の基準決算との2年平均とするか選択することができます。
X2評点は、X21とX22の平均により算出されます。

X2=X21+X22/2(小数点以下は切り捨て)

自己資本額X21
自己資本額は、決算書のうち貸借対照表の資産総額から負債総額を差し引いた純資産の合計額を指します。まず自己資本額の評点区分表によって区分が与えられ、その区分をもとに自己資本額の区分に応じた評点(X21)の算出式にあてはめ計算します。

平均利益額X22
X2で用いる利益額は利払前税引前償却前利益(EBITDA)といい、営業利益に減価償却費を加えた額となります。当該額の2期平均が平均利益額となります。
この指標では自社で機械設備を有する建設業者が有利となります。利払前税引前償却前利益は、決算書のうち損益計算書の営業利益に減価償却費を加えた額を指します。
まず平均利益額の評点区分表によって区分が与えられ、その区分をもとに平均利益額の区分に応じた評点(X22)の算出式にあてはめ計算します。

経営状況分析Yの評点
経営状況分析Yでは、経営審査事項を受審する企業の経営状況を負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量の4要素・8指標から分析・評価します。
下記の経営状況分析8指標を以下に代入し、経営状況点数Aを求めます。

経営状況点数A=-0.4650×Y1-0.0508×Y2+0.0264×Y3+0.0277×Y4+0.0011×Y5+0.0089×Y6+0.0818×Y7+0.0172×Y8+0.1906

経営状況点数Aに小数点以下2位未満の端数があれば四捨五入します。経営状況点数Aをさらに以下に代入し、Y評点を求めます。

Y評点=167.3×経営状況点数A+583

最高点は1595点、最低点は0点です。Y評点に小数点以下の端数があれば四捨五入します。

負債抵抗力
・純支払利息比率Y1
(支払利息-受取利息配当金)×100/売上高

上限値5.1%、下限値-0.3%(低いほど良い)

・負債回転期間Y2
(流動負債+固定負債)/(売上高/12)

上限値18ヶ月、下限値0.9ヶ月(低いほど良い)

収益性・効率性
・総資本売上総利益率Y3(個人の場合は完成工事総利益の額)
売上総利益×100/総資本(2期平均)

上限値63.6%、下限値6.5%(高いほど良い)

・売上高経常利益率Y4
経常利益×100/売上高

上限値5.1%、下限値-8.5%(高いほど良い)

財務健全性
・自己資本対固定資産比率Y5
自己資本×100/固定資産

上限値350%、下限値-76.5%(高いほど良い)

・自己資本比率Y6</li>
自己資本×100/総資本

上限値68.5%、下限値-68.6%(高いほど良い)

絶対的力量
・営業キャッシュフローY7
営業キャッシュフロー(2期平均)/1億

上限値15億円、下限値-10億円(高いほど良い)

・利益剰余金Y8(個人の場合は純資産合計の額)</li>
利益剰余金/1億

上限値100億円、下限値-3億円(高いほど良い)

技術力Zの評点
技術力Zでは種類別年間平均元請完成工事高が評価項目に加わり、技術職員数評点4に対し元請完成工事高評点1の割合となり、合計点数がそれぞれの業種の点数となります。

・業種別技術職員Z1
技術力Zでは、技術職員数のカウントの方法が変わり、1人の技術職員は2業種に制限されることになりました。技術職員数Z1の評点テーブルもご覧ください。

・種類別年間平均元請完成工事高Z2
公共工事の元請負人として求められるマネジメント能力を的確に評価する趣旨から公共工事だけでなく民間工事の元請も評価対象になります。元請完成工事高の評価は、2年平均又は3年平均がありますが、これらは完成工事高評点X1で選択したもので行うことになります。
まず元請完成工事高の評点区分表によって区分が与えられ、その区分をもとに元請完成工事高の区分に応じた評点(Z1)の算出式にあてはめ計算します。

社会性等Wの評点
社会性等評点Wの評価項目は、労働福祉の状況W1、建設業の営業継続の状況W2、防災協定締結の有無W3、法令順守の状況W4、建設業の経理状況W5、研究開発の状況W6、建設機械の保有状況W7、ISO認証取得の状況W8の8項目となります。(W7、W8は平成23年4月1日に追加されました。)
社会性等評点Wの配点は、労働福祉の状況W1が-60点から45点、建設業の営業継続の状況W2が-60点から60点、防災協定締結の有無W3が0点或いは15点、法令順守の状況W4が-30点から0点、建設業の経理状況W5が0点から30点、研究開発の状況W6が0点から25点、建設機械の保有状況W7が0点から15点、ISO認証取得の状況W8が0点から10点となります。

・労働福祉の状況W1
労働福祉の状況は、(1)雇用保険の未加入、(2)健康保険及び厚生年金保険の未加入が減点評価され、(3)建設業退職金共済制度への加入、(4)退職一時金制度・企業年金制度の導入、(5)法定外労働災害補償制度への加入が加点評価されます。
加点評価は項目数に15を掛けた点数が加点され、減点評価は項目数に-30を掛けた点数が減点されます。

・建設業の営業継続の状況W2
建設業の営業継続の状況は、営業年数W21と民事再生法又は会社更生法の適用の有無W22を併せた評価となりました。

・営業年数W21
営業年数は建設業許可或いは登録を受けてから営業を行った期間の年数を指します。営業年数W21は、(審査許可基準日までの満許可営業年数-5年)×2で算出します。

・再生企業に対する減点措置W22
下請企業に多大な負担を強いた再生企業は、再生期間中60点の減点をし、再生期間の終了後は営業年数評価をゼロとして評価します。

・防災協定締結の有無W3
建設業者と国、特殊法人、地方公共団体間で災害時の防災活動等について規定した防災協定を締結している場合に加点対象となります。また、所属団体が災害協定を締結し、活動計画書などで一定の役割を果たすことが確認できる建設業者も加点対象となります。

・法令順守の状況W4
法令順守の状況では、建設業法28条の規定による指示処分、営業停止処分を受けたか否かを審査します。指示処分を受けた場合は-15点、営業停止処分を受けた場合は-30点の減点評価を受けます。

・建設業の経理状況W5
建設業の経理状況では、監査の受審状況W51と公認会計士等数W52が評価対象となります。

・監査の受審状況W51
会計監査人の設置で20点、会計参与の設置で10点、公認会計士、公認会計士補、税理士、登録経理試験合格者の資格保有職員が、確認項目に沿った適正な経理処理を行っていることが確認できた場合に2点の加点評価を受けます。

・公認会計士等数W52
公認会計士等数では、公認会計士、公認会計士補、税理士、登録経理試験合格者(1級・2級)が評価対象となり、公認会計士、公認会計士補、税理士、登録経理試験1級合格者は1人当たり1点、登録経理試験2級合格者は1人当たり0.4点が加点されます。公認会計士等数W52の評点テーブルも併せてご覧になってください。

・研究開発の状況W6
研究開発の状況では、審査対象年とその前年の研究開発費の額の平均額を表引きして計算します。加点対象は、会計監査人設置会社に限定されます。研究開発の状況W6の評点テーブルを記載していますのでご覧ください。

・建設機械の保有状況W7
建設機械の保有状況では、評価対象がショベル系掘削機(ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン或いはパイルドライバーのアタッチメントを有するもの)、ブルドーザー(自重が3トン以上のもの)、トラクターショベル(バケット容量が0.4立方メートル以上のもの)となります。1台につき1点が加点され、上限が15点となります。

・ISO認証取得の状況W8
加点対象は、ISO9001とISO14001となり、かつ、認証範囲に建設業が含まれていること、認証取得した審査登録機関が財団法人日本適合性認定協会(JBA)の認定を受けていること、会社全体が認証範囲であることが必要です。
加点点数は、ISO9001及びISO14001の登録で10点、ISO9001の登録で5点、ISO14001の登録で5点となります。

<経審申請の点数計算関連ページ>
経審の点数計算
経審平成23年改正について
工事種類別年間平均完成工事高評点X1(平成23年4月1日改正)
自己資本の額又は平均自己資本の額X21・平均利益額X22
技術職員数Z1・建設工事の種類別年間平均元請完成工事高Z2
公認会計士等数W52・研究開発の状況W6